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Noble Oak / Past Life [review④]

アルバム紹介④

来日ツアー真っ最中のNoble Oakですが、引き続きアルバム紹介をお送りします。
ツアーレポは後程ゆっくりできるかとは思いますが、リアルタイムのPatrickの様子はFacebookでもお伝えしています。
オフショット満載(イケメン)でお届けしていますよ!

⑧This Wave

引き続き唄ものですが、ここからまた文節(楽節)が変わる、もしくはその流れをくみながらも変調の作用をするところだと思います。
より際立つバックビートとこれまでにないパッション、おそらく、Patrickのパーソナルが一番伺うことのできる楽曲なのかもしれません。
実際、ライブでの熱量も凄いものがあります!

⑨Walk On Me

そして対極を成すようなチルド・ビート。
氷温のドライで張りつめた音質、感覚。
冷めきっているはずなのに、何故かそこに温度を感じるのは、
極論がもたらす麻痺なのか、芯の部分の温もりなのか。

⑩Fall Backward

それらの答えがこのインストナンバーにあるのかなぁ、と。
ビートは硬質的、ハーモニーは柔らか、
小文説も大文節もここにあると思います。
作品の大きな楽章はここで区切り。
ことばで現わされない分、雄弁に鳴らされる音だと感じずにはいられません。

つづく

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Noble Oak / Past Life [review③]

アルバム紹介③

序盤戦、ここまで4曲中3曲がインストでしたが、ここからはしばらく唄ものが続きます。
そして前半のハイライトがこのあたりだと思います。

⑤All I Said

ダウンテンポに落とし込まれた洒脱なフュージョン感と艶やかなサウンドの中に、大人の色香を匂わせます。
感傷的な喪失感と、感情的になり過ぎないエモーションに、SeoulやRyheなどの10年代的なセンスが伺えます。

⑥No Air

テクスチャーが初期のRadioheadに近いと感じます。バンドサウンドとの違いと、「クセ」や「ひね」が控えめな分、それよりも彼の純度がより強く出ていて、親しみやすい耳になじむ楽曲。

そして前半の山場、⑦Hyperionに続きます。(紹介はリンクをご参照ください。)

ここの流れは本当にすばらしくて、おそらくは無意識にせよ90年代から10年代までの幅広いリスナーを繋ぐ、もしくは安心させるサウンドプロダクションで、
無闇矢鱈に自己主張して投げっぱなしでぶち上げることのない、自然の緩やかな高揚感が楽しめます。

僕はこのアルバムを「ベッドルームポップ」の傑作だと思ってはばからないのですが、
それはそれぞれの楽曲に纏う雰囲気と、作品全体の醸し出す空気が、
よそよそしさのない、変に構えることのない、普段着でいつものリズムで(時たま気分も良くなったり、はたまたちょっと塞ぎ込んだり、)日常に染み込んでくる音楽だからだと感じるからです。パジャマで踊れる音楽です。

つづく


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Noble Oak / Past Life [review②]

アルバム紹介②

今作にはインストの楽曲もいい具合に織り交ぜていると思います。
基本的にインストナンバーは日本ではうけない、というエピソードは、
僕の大好きなグルーヴを大事にしているアーティストさんのすんばらしく面白いドキュメンタリーでも言われていましたが、大きなところは難しいのですねぇ。
今はそんなことないと願いたいところです。覆したいです。おんなじ音楽ですから。

③Oceanworld

おはよう、と目がさめたけど、もうちょっと微睡たい、
頭と身体と心拍数をアンニュイな気持ちでいるような、水に浮かぶようなふわふわな気分を強めのビートの上で揺蕩うようなナンバーです。

④Dream-Spark

そして音は柔らかくなります。優しいのか、嘘なのか、はたまた夢なのか、
レイドバックするビートや旋律に捕われそうな心地の良い音楽。
無邪気な音の玉が飛び交う様を母性のように見守るのか、否か。
ここからの流れが最高なんだなぁ!


つづく

 

pur

Noble Oak / Past Life [review]

いよいよ!
もうすぐにNoble Oakの来日ツアーが迫っていまして、
またPatrickに再会できるのが楽しみで仕方ありません!

というわけで絶好調のニューアルバム、「Past Life」をご紹介させていただきます!

前回リードトラック(というか全曲お薦めなのですが!)「Hyperion」についてはちょいと書かせていただいたので、改めてアルバムの順を追ってご案内させていただきます。

①The Spirit


アルバムを通して一つの作品として聴く、というのが当たり前であってほしいと思う古い人間ではありますが、残念ながら、今の世の中に於いてはそのような意図が制作側にすらも感じられない音楽もたくさんあります。
ありがたいことに、カナダから届いたNoble Oakのデビューアルバムには全体を通した構成に、きちんとした流れが感じられます。

冒頭の「The Spirit」にはコース料理のアミューズのような、今作に於いてのNoble Oakの楽曲のイントロダクション的な意味合いを持っていると思います。
夢見心地なダンスフロアへの誘い。目をこすりながら向かうところがまちがいのない世界だと思わせる、Patrick Fioreの魔法の入り口です。

②Begin To Say

前作EP「Away」の流れをくむ、大空を感じさせる楽曲だと思います。
高揚感とオリエンタルを感じさせる旋律、美しいハーモニーが白眉。
さぁ、始まるよ。Patrickのマジカル・ドリーミー・ポップの世界へようこそ!

この曲が気に入っていただけたなら是非前作のEPを聴いていただきたいと思います。)

つづく

 

pur

Avalanches / Wildflower

フジロックのキャンセルは残念の一言です。(僕はそもそも苗場に行けませんが。)
そしてなんとなくそんな気がしなかったとも言い切れず…。(笑)
アヴァランチーズが一番のお目当てと決めていた方も多いのではないでしょうか。当レーベルのAyakoさんもがっかりしておりました。せめて単独来日があったらいいですね!

でもでも「出る出る詐欺」かと思われていた新譜の方は無事にリリースされましたね!
(これがすばらしい作品なだけに、フジのキャンセルが余計に悲しいのですが…。)

気を取り直して、16年ぶりの「Wildflower」について、と
その前に全作「Since I Left You」について。

2000年の作品で、これまで常にどの時代に於いても「今でも色褪せない」と言われ続けた金字塔的名盤なのですが(そしてそれを疑う余地もなかったのですが)、
いざ新作が出てくると、やはり多少の時代の流れは感じますね。
唯一無二だったものも(本人の)比較対象が出てくることで再考することができるかと。

90年代の終わりから00年代にかけては、ロックとクラブミュージックの垣根が破綻してきた時期であり、両サイドから歩み寄りのあったタイミングと記憶しております。
故にエッジの効いた強度の強めな音が媒体含め、メインストリームで賑わっていたようにも思い出されます。(記憶がずれていたらごめんなさい。)
そしてUK、US主体に流れてきていた音楽の情報も、ネットの普及もありより多様化してきた時期でもあったと思います。特にこの頃のオージーは勢いがありましたね。

そんなタイミングで青天の霹靂のように現れたAvalanchesに衝撃を受けた方も多かったと思います。
サンプリングを駆使した音楽IQの高い(という言い方はもはや嫌がられるかもしれませんが…)楽曲性は、捻くれた音楽好きには瞬く間に受け入れられました。
今聴いてもユーモアと野心にあふれるサウンドプロダクトは風化しないし、気分があがります。ずーっと思ってました。

(いや、最高です。)

そして待望の新作「Wildflower」。16年間のノスタルジーをいとも簡単に刷新してくれましたね。(制作目線ではいろいろあったと思いますが、あくまでもリスナー目線です。)いやほんと、最高です。

音の盛り上げ方は「これぞアヴァランチーズ節!」と変わりはないのですが、角が取れたというか、よりスムースになりました。いい意味で肩の力が抜けているというか、これが現代版アヴァランチーズだなと。(関わっているアーティストの力もあると思います。)
ヒップホップ色が強くなったりと、ディテールの違いはあるのですが、ものすごい気持ちいいなぁ。いや、マジで最高です。

時季的にもマッチしたサマーブリージンな感触が、フェスでもカーラジオからでも流れていてほしいです。
つくづく、フジロックのキャンセルが残念です。若い子にも聴いてほしかったなぁ。

いやー、トんでますねぇー。

 

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ザ・なつやすみバンド

とろけるような暑い日が続いております。夏真っ盛り。
学生のみなさまはこれからウキウキワクワクの夏休みですね。(海の日なんて僕がこどもの頃にはなかった!)

虫取り、ラジオ体操、そうめん、ベースボール、
ドリル、読書感想文、登校日、
ファミコン、お墓参り、夏祭り、…
遠い記憶の中で、長いようで短い、(今思うとどんだけ贅沢な時間なんだ!)と思い出がよみがえる夏休み。宿題は決まってだいたい8.31でした。
毎日が、夏休みだったら、いいのになぁ。

そんな梅雨明け間近に、ザ・なつやすみバンドのニューアルバムがリリースになります。
楽しみで仕方がありません。

夏の情景を切り取ったようないい意味での箱庭的なデビューアルバム(すばらしい)から、
誰もが驚いたであろう、メジャーへ移籍の2nd(すばらしい)で大きく世界を広げた彼ら彼女らの、
待望の、真価の三枚目だと思います。(きっとすばらしい)
こんなに信頼を寄せられるバンドは日本でも海外でもなかなかいないと思います。
フジロック、観に行きたかったなぁ。
毎日が、夏休みだったら、いいのになぁ。

何ていうか、矢野顕子さんまで感じます。
すばらしいや。
できることならライブで演ってくれている「ナウシカ」の音源化(7インチ希望)してほしいなぁ。
レコ発ツアーは絶対行きます。

 
pur

Homecomings / SALE OF BROKEN DREAMS

先日、レーベルリリースのNoble Oakの店舗展開写真を各所で撮らせていただいた後に、Homecomingsの2nd「SALE OF BROKEN DREAMS」のレコ発ライブ、東京公演(www渋谷)に行ってきました。

単純に楽しかったです。
新旧織り交ぜたセットリストで、本音を言えば年甲斐もなくわちゃわちゃ踊ったりしたかったのですが、日本人のストロングでありウィークであるポイントを体現して振り切れず、まわりの空気に同化していました。
メンバーさんはオーディエンスにもっと求めていたと思うのですが。
ライブの観方も、時代と共に変わるものですね。(単に老いただけという説が有力。)
フジロックでも観たいなぁ。(思い切り踊りたい。だがきっと、思い切り仕事だ。)

さて、そんなホムカミの2ndアルバムについて、個人的な所感を。
まず「”J-pop”の”インディ”に世間が求めている”アジャスト”なあれこれはどこ吹く風、好きな音楽を突き詰めようとしているなぁ。」というのが最初の、嬉しい感想です。
移ろいの激しいミュージックシーンの中で、80s、90s、00s、10sと関係なく受け入れられ続ける(たとえメインストリームではなくとも、とある大好きな層がニヤリとしてしまうような)音楽を奏でていてくれているのが何より嬉しいのです。
好きな音楽を演る、(もちろんそれが100ではないにしても、限りなくそれに近い強度で。)って言葉にすれば単純で簡単なことに聞こえますが、ここでは意外と大変なことだと思います。それは売れれば売れる程、「ここ」ではなおさら大変なのだと思います。
できることなら、この若い4人にこのまま大好きな音楽を鳴らし続けて欲しい、というのが単純でいて、素直な感想です。

内容について、もうちょっと述べさせていただきますと、「2枚目」のメッセージは強まったのかなぁ、と。偶然か、必然かは測りかねますが。
前作までも、明らかな海外趣向はあったのですが、今作では楽曲からそこかしこと、しかしながらどん欲に明確な90年代、00年代のUKロック、USオルタナの匂いがします。
演奏スキルに裏付けされたものも勿論あるでしょうが、J-popにはある意味宿さない”ドライ”なニュアンスが感じられます。そんな強さと、ある種の儚さを兼ね備えたアルバムと思います。
それとこれは完全な主観かもしれませんが、畳野さんの唄声に、Joni Mitchellを感じたりもしました。

技巧的で効果的なギター、美しいコーラス、ダイナミックかつ的確なリズム隊、和ますMCと(たぶん、愛のある)冷ややかな掛け合い、ストイックな姿勢。
なんというか、ちゃんと+のバンドスタイルを久々に見た気がしました。
更にもっとおじさんになっても応援したいバンドです。

pur

Noble OakのPast Life、いよいよ本日フラゲの日です!

いよいよ、はい、本当に!Noble Oak初のフルアルバム「Past Life」、6/29にいよいよリリースとなります!
Indienativeさんにもご紹介していただきました!)

いやー、楽しみです。
手前味噌ではありますが、日常に溶け込めて、
日常を彩ることのできる音楽だと思っています。
少しでも、ひとりでも多くの人に届いてほしい
今はそんな願望しかありません!

今回はリードトラックのひとつ、”Hyperion”をご紹介します。

印象的で、中毒性のあるラインからの展開でオーバーダブ的に構築していく(そしてブレイクする)流れには、高揚し、感涙してしまいそうになります。
音の使い方、重ね方も効果的でありつつ、「とってつけた感」がまったく感じられない、自然と抑揚する流れがじわじわと印象に残る、美しい音楽だなぁ、と思います。

“ビートの貴公子”なんて勝手に命名しましたが、Noble OakことPatrick Fioreの新作は、
意欲的なアプローチと混じりっ気なしの純度を見事に、彼らしく昇華していると感じます。
Patrickのジェントルなパーソナルとそこから生み出される嘘のない音楽が、多くの人に共感していただけることを心より願っております。

 
pur

Past Life / Noble Oak

Homeではお伝えしておりますが、6/29にNoble Oakの1stアルバムがリリースとなります!

レーベルとして、みなさまに音楽をお届けできるのがかなり久しぶりのこととなってしまったので、どのように受け入れていただけるのか、とてもドキドキしております。

たくさんの人に聴いてもらえるといいなぁ。
というのが一番の本音であって、それは何よりパトリックの真摯な人柄がよく現れているからであり、贔屓目なしにこういう音楽がリスナーに受け入れて欲しいという願望もあります。

ベッドルームとダンスフロアを蜜月に繋ぐ居心地のよい音楽。

気に入っていただけたら幸いです。
今回は簡単にご案内まで。

写真は昨年の来日公演の模様です。
イケメンをブラしてしまってごめんなさい。

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DENKI GROOVE THE MOVIE?

Ayakoさんの映画ネタに続いて、僕もあんまり映画は疎いたちなのですが、

今月末から年初にかけて上映予定のこの映画は絶対に観に行こうと思います。

なんかよく分からなかったけど、こいつら面白そうって単純な理由(※1)で

のちのち意外と話に上がることの多い「初めて買ったアルバムは?」って話題を、黒歴史にしなかったのかしてくれたのか、

中二病に襲われる直前のまだ(多分)純粋だった12歳の時に購入したのが電気のメジャー2ndアルバム”UFO”で

ライナーや雑誌や音楽番組(バラエティー)を読んで電気経由のYMO、クラフトワークに行けたのが今思っても良かったなぁと。

当時の田舎の少年としては風当たり(※2)は強かったけどね。でも3倍歳を取った今も初期衝動を聴けるってのはホントに幸せなことです。

勇気をもらえるなぁ。

個人的にはまりんがいた頃が一番好きですが、どんな内容のドキュメンタリーになるのか。

おそらく、映画館の空気も一体化するんだろうな。早く観たい!

 

※1・・・CMJKの脱退記者会見を卓球、瀧の両氏が全裸で臨んだため。

※2・・・当時はビーイング系全盛で、何を思ったか中学校の朝の合唱コーナー(なんてものがあるのも時代感。)でそういった音楽を歌おう!とか言い出す担任も居たとか。そして流行りの歌を知らないボッチの扱いは更に・・・。

 

 

pur